OsaboriSiteNonbeZamurai
       
 
 
 








   
 

 
 ■原因は何か
 依存性薬物であるアルコールを含んだ嗜好品、すなわちアルコール飲料を繰り返し摂取すると、
 脳内へのアルコールの強化作用(その薬物の再摂取欲求を引き起こす作用、アルコールでは飲酒欲求)
 に対する感受性が増大します。
 強化作用の仕組みはすべての薬物依存症に共通で、脳内の側坐核そくざかくから神経伝達物質のドーパ
 ミンが放出されることによります。
 アルコールは、GABAガバ‐A神経を介して側坐核からドーパミンを放出させます。
 この強化作用に対する感受性の増大が、飲酒行動を強化し、飲酒パターンが病的となって探索行動(何とか
 してお酒を飲むための行動)を引き起こします。
 感受性の増大する速度は、強化作用(飲酒欲求)に対する感受性のほかに、飲酒量、飲酒頻度などで変わっ
 てきます。
 強化作用に対する感受性が高いと、飲酒量や飲酒頻度が高くなくても短期間で依存症に至ります。
 一方、感受性が低くても、飲酒量や飲酒頻度が高ければ短期間で依存症に至ります。
 すなわち、アルコールの強化作用に対する感受性と飲酒の反復とから、アルコール依存症が形づくら
 れます。
 したがって、原因に性格や人格をあげるのは科学的ではありません。



 
 ■症状の現れ方
 主な症状は病的な飲酒行動です。その始まりはゆるやかで気づきにくいという特徴があります。
 病的な飲酒行動は、摂取行動と探索行動の変化として現れます。
 摂取行動は、日常行動の合間合間に飲酒を繰り返したり、飲んでは眠り、さめては飲むを繰り返したり
 の病的飲酒パターンになります。
 病的飲酒パターンの持続時間は、初期は短期間で徐々に延長します。
 病的飲酒パターンと表裏して飲酒渇望かつぼうが探索行動に現れ、徐々に高度になります。
 飲酒を取り繕つくろううそ、酒代の借金、隠れ飲み、酒瓶隠し、隠し金、酒屋や自販機めぐり、飲酒を
 妨害する人を責めたり脅したりなど、多種多様です。
 アルコール依存症の進行につれて日常行動の規範が飲酒に移り、飲酒中心性と呼ばれる状況になります。
 たとえば、どこへ行くにも飲酒の可否で優先するような事態です。
 若い時の私がそうでした。



 
 
■退薬症状
 飲酒の反復のあと、飲酒中断や飲酒間隔の延長、飲酒量の減少で現れる症状です。
 不眠・悪夢・血圧上昇・頻脈・動悸・吐き気・嘔吐・頭痛・胃痛・発汗・寝汗などの自律神経症状、
 手指振戦しんせん・筋肉の硬直やけいれん発作などの神経症状、幻視・幻聴・振戦せん妄などの精神症状
 が現れます。
 退薬症状がおさまると、怒りっぽくなる・刺激に敏感になる・焦燥・抑うつなど情動の不安定な遷延性せん
 えんせい退薬徴候と呼ばれる状態が続きます。



 
 
■合併症
 アルコールに起因する合併症には、胃炎、膵炎、膵石、肝炎、肝硬変、心筋症などの内科疾患、末梢神経炎、
 小脳変性症、ウェルニッケ・コルサコフ症候群、前頭葉ぜんとうよう機能障害、アルコール痴呆ちほうなど
 の神経・精神疾患があります。
 ・・アルコール性認知症とは、アルコールを多量に飲み続けた事により、脳梗塞などの脳血管障害などを起
 こし、その結果発症する認知症です。



 
 
■治療の方法
 現在のところ、断酒以外の治療選択肢はありません。



 
   







 
 ©飲兵衛侍